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かしこい住宅プロデュース・建築プロデュース・建築家紹介 K'sNETがお届けする、今回のコラムは北野彰作建築研究所主宰・北野彰作先生

が、京都市東山区の三十三間堂と最近興味を持たれている「限界耐力計算法」との共通項について、お寄せいただきました。

地震国日本に住む私達は、阪神淡路大震災をはじめ、最近おこった中越沖地震などの被害者にならない保障など、どこにもありません。

そんな時、先人の知恵を生かした地震に強い建造物を研究し、現代の住まいに応用してくれる建築家がいてくれることはとても心丈夫ではないでしょうか。

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コラム第二十五回
限界耐力計算法

現在、京都の現場があって折角来ているのだから打ち合わせが終わったら何処かに古寺巡礼でも、と秘かに考えていた のですが中々時間が取れないまま結局、やっぱり無理かなぁと思っていた矢先に、先日たまたまポッカリ時間が空いて、 じゃ何処へ行こうかと。。。で結局、京都市東山区の三十三間堂に行きました。

三十三間堂

宮本武蔵が吉岡一門?と戦った場所との印象が強いのですが、あれは吉川英治の全くのフィクションらしいですね、意外で した。創建はなんと1164年、一度火災で焼失するも1266年に再建、今日に至るまで約700年以上も営々と保存されてきました。

三十三間堂

当時の豪快な木造架構が見られるということで興味津々だったのですが、お堂に入って何より先ず驚かされたのが、1000体もあるという、整然と並べられた等身立像の大迫力 でした。一体一体が微妙に表情に変化があって、よくもまぁ労を惜しまず創りあげたぁ、と思わずため息の出る桁外れの創造力です。

一瞬連想したのが洋画「アイロボット」の中で同じく整然と並べられたロボット工場の光景ですが、CGで作られた仮想現実とは違い実際檜の寄木にノミをふる って創りあげたものだけに、その迫力が根底から違います。

膨大なこれらの木像群は西欧のルネッサンス期よりも遥かに先駆けるこの時代(当時西欧はまだ暗黒の中世のカテドラルの時代)にミケランジェロも真っ青なリア リズムで我々に迫ってきます。 一番前列に並ぶ28体の個性豊かな仏像もインド起源の神話的な姿が、迫真の表現力で訴えかけてきます。夫々に詳しい注釈付きで、さながら仏像博物館のような体をなしていました。

こんなに素晴らしい堂内なのに騒々しい学生達が唯一残念でした。静かな堂内だからこそ粛々とイニシエビトとの対話ができるというのに、もう少し学校側もご配慮頂きたいものです。

元々見たかった構造ですが実に堂々とした架構でした。仏像に負けないくらい野太さと繊細さを兼ね備えた工人の心意気が伝わってきました。

何よりその規模の迫力です。張間方向が22M、桁行方向が何と120Mという気宇壮大な構造体です。古代人の空想力の肝の大きさもさることながら、それ を現実化するに当たっての細心な構造的配慮にも大層感心させられました。

これだけ重厚な本瓦を葺いた屋根の重さや建物の長さを考えた時どうしても気になるのが基礎構造です。

三十三間堂

普通だと不同沈下は当然な筈なのに、私の目測では棟の稜線は全くズレもなく一直線に走っていました。

不思議に思っていましたら、堂内の立て札にその解説がなされていました。「砂と粘土を層状に交互に堆積して地震時の地下振動を吸収する」、との ことでした、思わず脱帽です。これを『版築』(はんちく)っていうんだそうです。

最近「限界耐力計算法」に興味があり、たまたま有志での勉強会にその最先端の講義が聞けるというので参加してたのですが、その構造家が指摘して いた構造的配慮が随所に見られました。

梁を二丁差しにして、その梁の間に虹梁(コウリョウ)を挟む架構が斗栱(トキョウ)と併せて、地震時の横力に対してロッキングしながら地震の揺れを減衰 する効果があり、いわば今日のダンパー的な機能とも考えられます。

また仏像が並ぶ背面の壁が、「塗り壁」でなく、柱と柱の間に羽目板を落とし込んだ構造になっていました。これも横力が生じたときに、板どうしがロッキングして地 震エネルギーを吸収する役目かなと思いました。

そもそも建物前面には機能的に開放性が必要で貫が確保できていないのに、背面だけを耐力壁とすれば当然捩れが生じて屋根の重さだけで倒壊する可能性 があります。

板であれば重量も軽いし一石二鳥の解決策だなと、建物の裏側でひとしきり感心していました。 妙なところばかり見たり嘆息ついたりと、端から見れば随分怪しくてヘンな観光客だったかと思います。

それにしても我々の先人は偉大ですね。経験則から編み出した技術とはいえ、その卓越した先見性は恐るべきものがあります。 何よりその建築にかける情熱が素晴らしいです。ほんま、ええモン見させてもらいました、合掌。

北野彰作

北野彰作建築研究所主宰・北野彰作

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